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執筆者の写真聖二 文田

『視座・視野・視点』                           絵は思いを伝える視覚情報


日々、暮らしていけることが、どれだけ幸せなことかを気づくために創造力がある。創造性はアートの世界だけではなく、繰り返される実生活の中でこそ効用を発揮する。




視座・視野・視点の転換:北斎から学ぶ日常の奇跡


葛飾北斎の『凱風快晴』(1832年)は、その代表的な作品の一つであり、彼の独自の視点が如何にして人々の日常を豊かにし得るかを示している。富士山という日常的な風景が、北斎の視座により、新たな生命力を帯びたものとして描かれた。


『凱風快晴』 1832年 葛飾北斎


私たちも、アートに触れることで日常を非日常に変えるのではなく、当たり前のこととして見過ごしている“日常の奇跡”に気づくことができるだろう。視座が変わり視野が広がって視点が多角化することで、結果的に今までの日常が変わる。



歴史に学ぶ創造性の挑戦

芸術家たちはいつの時代も新しい価値を探し求めて、未知の領域への挑戦を繰り返してきた。その例として、ルネサンス期におけるレオナルド・ダ・ヴィンチの活動が挙げられる。彼の探求は、単なる芸術にとどまらず、科学や解剖学、工学など多岐にわたっており、まさに未知の領域への挑戦を体現していた。


レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿


こうした挑戦が時代を超えて社会に新たな視座をもたらし、アートが社会変動と共に変貌し続ける理由となっている。



創造活動と身体性の関係


創造性が単なる精神的活動にとどまらず、身体的な要素と深く結びついていることは、ヘンリー・ムーアの彫刻に見られる「彫刻のための人物習作」にも表れている。


『彫刻のための人物習作』 ヘンリー・ムーア


『横たわる人』 1938年 ヘンリー・ムーワ


絵を描くことは脳を活性化させるための手先の運動と考えた方がいい。体を動かした方が喋りやすかったり、考えがまとまったりするのと同様に、絵を描くことで手先と脳が連動し、新鮮な発想が浮かぶ脳のストレッチとなる。



レオナルド・ダ・ヴィンチと感覚的知性


レオナルド・ダ・ヴィンチは、絵画や彫刻、科学において「感覚的知性」を磨くことの重要性を説いた。

彼の言葉にあるように、花を育てたり、絵を描いたり、歌ったり、小説を書いたりすることは、単なる楽しみではなく、感覚的知性を磨くための重要な活動である。これは現代においても、脳や身体を進化させるために創造性が如何に重要であるかを示している。


レオナルドがチェーザレ・ボルジアの命令で制作した、非常に精密なイーモラの地図。



デッサンの重要性:現代社会での応用


デッサンは、ただ単に写実的な絵を描くための技法ではなく、情報収集力や伝達力を高めるためのトレーニングである。レオナルド・ダ・ヴィンチの『子宮内の胎児が描かれた手稿』(1510年頃)や『ウィトルウィウス的人体図』(1485年頃)は、その視覚化力がどれほどの洞察力と観察力を必要とするかを示している。


『子宮内の胎児が描かれた手稿』1510年頃 レオナルド・ダ・ヴィンチ


『ウィトルウィウス的人体図』 1485年頃 レオナルド・ダ・ヴィンチ


現代においても、企業や行政でのプロジェクトマネジメントにおいて、デッサン力は非常に有用である。デッサンを通じて培われた観察力、思考力、伝達力は、物事の本質を見極め、解決策を視覚化する能力へと繋がる。

レオナルドの手稿が示すように、絵を描くことで思考を視覚化し、コミュニケーションを円滑にすることが可能となる。



デッサンと社会的効用


 デッサン力を磨くことで、一般企業においても、クライアントのニーズを的確に捉え、それを具体的な形で伝える力が身につく。これは単に美術やデザインの分野に限らず、社会全体において必要とされるスキルである。『レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿』に見られるような観察力、思考力、伝達力を、デッサンを通じて現代社会でも応用することが可能であり、それが社会の多様な分野における創造的解決策を生み出す基盤となる。



 このコラムでは、歴史的・社会的背景を織り交ぜながら、デッサンや創造性の重要性を強調しています。レオナルド・ダ・ヴィンチや葛飾北斎の作品を引用することで、アートがいかにして社会や日常生活に深い影響を与えるかを示しました。


百人一首 『乳母が絵解』 葛飾北斎


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