sfumita7
アートにおけるエッジエフェクト化
更新日:2021年10月7日

『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』
1897-1898年 ポール・ゴーギャン
※Edge effect(エッジ効果)とは、 生態学において、生物の生息地の境界部分が外部からの影響を強く受けることを示す。 エッジ効果は、林の辺縁部分や、孤島の海岸線近くの区域などに生じ、その範囲の環境は林の中心部や島の中央部とは異なる特性を示す。
このエッジ効果により、生物が進化をしてきた。他分野との多角的な情報交換ができるエッジエフェクトを生み出すことが、ヒトや社会が成長する条件だと考えています。

空想上の動物が描かれているショーべェ洞窟の壁画
いつの時代もそれまでのアートシーンの枠を超えて社会で注目(支持)される新しい価値観“現代美術”の研究が求められてきました。進化するビジネスの領域においてもArt思考や美意識、創造性が必要とされている今日、実社会を直視して問題点を的確にとらえて、限られた専門性の壁を越えて協働していく「芸術教育」が必要とされています。
SDGsを目指し始めた世界で、デザインやArt思考が重要視されていることやSTEM教育に[Art]が加えられたSTEAM教育が次世代に求められているように“Art”の社会的役割がますます見直されてきています。

日本でも藝大・美大・美術学校で研究する学生の思考力や創造性が実社会で増々、必要とされている昨今、その才能を社会で機能させていくために他分野との協働を実践する『アートにおけるキャリア教育』の研究が重要視されていくと考えています。 持続的な経済成長社会であるSociety5.0の実現のために未来志向を持ちながらもアナログへの回帰、伝統文化の継承の重要性が高まってきている社会で、文化庁や文部科学省の教育改革だけではなく企業や行政の「働き方改革、社会人の学び直し」と社員教育、職員研修も“新しい教育”に取り組んでいます。 アートシーンだけに留まらず、様々な分野で「正解のない問題」への対策で迷走している行政や様々な企業、伝統文化の工房、リカレント教育やSTEAM教育の現場などで、多様な人脈との協働関係を築き多角的な視点を活かした“創造性の促進”が求められています。 想定外な実社会のあらゆる場面で、クリエイティビティを開放し機能させる『アートにおけるエッジエフェクト化』といった従来の美術教育では実現できないArtキャリア教育の必要性を感じています。

『アテナイの学堂』(1509年 - 1510年) ヴァチカン宮殿ラファエロの間
「アートにおけるキャリア教育」によって磨かれる“感覚や創造性”は、想定外な社会環境に順応して生き抜いていく力を身につけていくために子供から大人まで生涯、継続して必要なものなのです。 現社の問題に合致した“教育改革”を実現するためには、アートと他分野との協働により多角的な視点で思考して、実社会における諸問題の本質を洞察し創造性によって提唱していく『Artキャリア教育』の研究者と実践プログラムを継続的に牽引していく各分野でのリーダー的存在が必要だと考えています。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

バウハウス