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  • 執筆者の写真sfumita7

アートに学ぶ 気づきと思考 Ⅰ はじめに/目次/Prologue 

更新日:2022年1月16日


はじめに


 歴史の残る芸術家たちは、新しい価値観で人と社会を進化させてきました。19世紀フランス パリでは、モンマルトルの丘のバトー・ラヴォワール(洗濯船)を若き芸術家たちが憧れ愛し、引き寄せられるように集まって芸術革命を起こしました。産業革命が起こったイギリスでもそれまでの芸術を引き継ぐ保守的な新古典主義のアングルとその頃、時代を台頭した革新的なロマン主義のドラクロアら芸術家たちが、絵画、音楽、文学、舞台、それぞれの信じる道を開拓していきました。14世紀のイタリアのルネサンス期でもお互いの気づきと思考を繰り返しながら、サイエンス、アート、経済までも大きく揺るがす爆発的なパワーを世界に発信していたのです。これは人類創世記のネアンデルタール人やクロマニヨン人がサバイバルをしていた古代から続いている認知革命です。自ら気づくこと、客観的な評価でモチベーションの持ち方(非認知能力)が変わり、大きく未来に影響していくのです。それほど人にとって「原因と結果」を認識することと同様に”気づき”と”思考“は重要なものなのです。


現代の社会は答えのない問いに囲まれています。また、「問い」さえも自ら見つける必要があります。だからこそ多角的な視点を身につけることが必要です。

社会のありとあらゆる問題にさまざまな角度から立ち向かうことができる、それが[アートの学び」です。

『サルダナパールの死』 1827年 ウジェーヌ・ドラクロワ




「創造性」が、なぜ今必要なのか



『アインシュタインが残した言葉』

「直観は聖なる授かりものであり、理性は誠実なる従者である。私たちは従者を敬う社会をつくり、授かりものを忘れてしまった。

人の脳に備わる本当に大切な能力、知覚・直感・想像力・創造力を近代社会や教育で、ないがしろにしてきたことが現代に影響している。」



『創造性が、人や社会を育てる。』

・よく観ること

・しっかりと感じとること

・多角的な視点を持つこと

・伝え方を工夫すること

・本質を探ること

・違和感を見つけ解消していくこと

・知らないことに気づいていくこと

・創造すること

これら生きるために大切な感覚機能を、創造性でバージョンアップできる。



『生きるためのデッサン力』

デッサン力があるということは、絵の上手い下手の違いではなく、情報を収集する力や伝達する能力、ものごとの構造を見極められることや構想している計画や企画を具体的に展開していく能力(プランニング)。頭の中のイメージ(ビジョン)を絵に描き出す感覚を磨くことが日常生活や一般的な仕事で見直されてきている。


『相対性』 1953年 マウリッツ・エッシャー



『紙面の2次元ではなく、現実の3次元で考える。』

経営の神様である松下幸之助が「経営とは、白紙の上に平面的に価値を創造するだけではない。立体というか四方八方に広がる芸術である。となれば、

経営者はまさに総合芸術家。」と言っている彼は、クリエイターである。



『最も高貴な喜びとは、理解する喜びである』 レオナルド・ダ・ヴィンチ


 レオナルド・ダ・ヴィンチは、凡庸な人間は「注意散漫に眺め、聞くとはなしに聞き、感じることもなく触れ、味わうことなく食べ、体を意識せずに動き、香りに気づくことなく呼吸し、考えずに歩いている」と嘆いていた。






目次




Prologue 「創造性」が、なぜ今必要なのか

  問題(悩み)の原因/創造性の威力/デッサンの効用



Chapter1 なぜ? 違和感を感じとる

テーマ(構図:何を表現したいのか。)

 「テーマ(目的)とモチーフ(素材)を生かす・素材を使って

目的を他者に伝える」



Chapter2 自分らしさに気づくために

モチベーション(活力:目標。何をしたいのか。)

 「何のために、誰のために企画・行動したいのか」



Chapter3 見たいものしか見えていない

リサーチ力(観察眼:情報処理能力)

 「発見・展開・整とん」



Chapter4 強い想いが人を動かす

イメージ(目的・意図:何を望むのか)

 「意図するイメージ・浮かぶイメージ・沸き上がるイメージ」



Chapter5 ”好き“が最強パワー

エスキース(効率:計画性レベルの高さ)

 「イメージを具現化する・思い描く理想を実現するための構想」



Chapter6 正直に生きている人は面白い

アピール(個性:やりたいことを素直に表現できているのか。)「自分の原点を再認識する・他者に物事を伝える力」



Chapter7 人は人に磨かれる

魅力(独自性)

 「自分しかしないこと・自分だからすること・何時間でも続けていられること」



Chapter8 自分を褒めて見直す

手段・持続(スキル:他者への説得力)

 「イメージを表現できる方法、テンションが上がる行為、性分」



Epilogue 価値の突破

「数字にできないことに新しい価値がある」





『レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿』より





Prologue 「創造性」が、なぜ今必要なのか


  問題(悩み)の原因/創造性の威力/デッサンの効用




問題(悩み)の原因(理性と感性の両立)



『現状維持といった考え方が、最も危険』

 と語るソフトバンクの孫正義社長の想いは、企業経営だけではなく、家族(核組織)の将来にも関係している。今、残っている生き物にしても文化にしても現状維持ではなく、地球や社会の環境変動に適応して新しい生き方にチャレンジして進化し続けてきた。要は、「今を生きるための効率性」と「将来、生き続けるための創造性」の両輪がバランスよく回らないとぶれないで真っすぐに前進していけないということである。

 この両輪は「現実と夢」のように一見、矛盾しているように感じてしまう。それが「悩み」となり、そのバランスが悪くなると「問題・摩擦」が起こる。明るい未来を拓くためには、その両方の強い想いが必要不可欠で、その歯車がしっかりと強く噛み合っていくことでブレイク・スルーが起こる。これはビジネスだけの話ではなく、人生の話でもある。

 現状維持のためだけに生きていると人生が空しくなる。夢をみている余裕はないと思い込んでしまう。夢をみるということは漠然とした理想ではなく、今の自分や家族に具体的な目的をもって投資するという現実的なことである。

 人や社会が、現実的な効率性と具体的なビジョンから生まれる創造性を身につけて磨いていくために芸術(観察力・思考力・伝達力)教育が、実は最も有効なのである。



『数字にできないことに新しい価値がある。』

 一般企業・社会人へ向けて美術指導をする講師業を生活の糧として創作を続けている。家族を守るための日常すべてを創作としている芸術家=実生活者、その想いは一つ「環境の変化と共に新しい価値を創造していくこと」。日常に潜んでいるきらめきを敏感に捉えられる五感は芸術教育で磨くことができ、創造力を身につけられる。




創造性の威力



『創造性』

 と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?人の心を高揚させ、歓喜させるオペラやバロック絵画、ハリウッド映画、おしゃれなインテリアやファッション、浮世離れした芸術家、あこがれのイラストレーター、卓越した巨匠たちの彫刻、パリやルーブル美術館、印象派画家たちが描きだす輝く色彩…などでしょうか?また、思いどおりに絵を描いたり、造形できたりすることだけが創造性の魅力、威力でしょうか?

 日本では、芸能スポーツに関する情報やその選手、芸能人たちの活躍は各メディアで頻繁に紹介され、社会におよぼす影響力もひろく知られていますが、アート&デザインもまた、あらゆる分野での可能性を秘めながらその威力や魅力を充分に有効利用されていないのが現状です。スポーツと同様、創造性も生活に密着したものです。また、その土地の文化に根付いたものであり、その時代を象徴するものでもあります。だからこそ創造性の基本表現であるデッサンや色彩を学ぶことでその時代をその時代の人々の中で生き抜く力を磨いていくことができます。

 以前、小学校で起きた無差別の殺傷事件発生の数ヶ月後、恐怖感が残る児童に対して学校に復帰させるために校内での合同授業でのリハビリが行われました。これは決められた図柄を指定された枠内に決められた色を生徒全員で一緒に塗っていくという単純な壁画制作でした。先生や友達と協力しながら一枚の壁画作品を完成させていく行為の中で生徒たちの心が徐々に開かれていき、小学校で友達と集まることの喜び、楽しさを自然に取り戻していけた創造性がもつ魅力、威力が効果的に使われていた印象の深い事例のひとつです。

また、創造性を学んでいく過程で、自虐行為や過食の症状が無くなっていった教え子もいます。小さな出来事まであげていったらきりがありませんが、創造性の影響力は多岐にわたり、計り知れません。

 舞台や絵画、彫刻、絵本など、いわゆる作家活動に限らず、あなたが創造性と考えるものなら「創造性の効用」が、理想の旅行計画やおもてなし料理、夢のマイホーム構想、明るい将来のためのリフォーム、家族を喜ばせるレジャー、自分を成長させる仕事とどんな表現にもあてはまるはずです。それが創造性の魅力であり、威力です。


『ホームシアター』 2010年 文田聖二




デッサンの効用



 対象(モチーフ)を表面的に写し描くことがデッサン力ではなく、対象の特徴、内部の構造、本質など多角的な視点でとらえる(観察:リサーチ)力、的確に情報を読み解いて意をもって再構築する(思考:コンセプト)力、誤解がないように分かりやすく伝える(伝達:デザイン)力、この感覚機能を意識して使い描いて視覚化したものがデッサンです。まずは、なぜデッサンレッスンが、「アート&デザイン(特殊な職業)」以外の一般社会人にも必要なのか?デッサンレッスンって、どんなイメージで、どんな絵を思い浮かべますか?鉛筆や木炭、コンテなどの画材を使って、モチーフを写真の様に写し描いていく修行のようなイメージを持たれている方が多いようですね。

 勿論、造形力を磨くために何枚もデッサンを描くといったこともありますが、そもそも「デッサン・デザイン」とも同じ語源である「designare(デシネーレ)」は、計画や考えを示すという意味をもつ設計図や企画書みたいなものです。一般企業の方たちもクライアントから依頼された、あるいは望んでいる考えや目的を正確に読み解き、コンセプトを提案し、商品化して伝達していく必要があります。クライアントと目的を共有するために絵に描ける(思考を視覚化する)ことでコミュニケーション能力も向上する。こういったいわゆる画力だけではなく、観察力・思考力・伝達力といった感覚機能がデッサンレッスンで磨くことができるのです。

教育機関だけではなく、企業や行政の職員の方に向けてデッサンレッスンを取り入れた研修も実施しています。

「一般企業と芸術家の組み合わせって不思議?」

どの社会人研修でも共通して、人間の持つ感覚機能(観察力・思考力・伝達力いわゆる創造性)を磨くことが求められています。


『ほつれ髪の女性』 1508年頃 レオナルド・ダ・ヴィンチ パルマ国立美術館



『誰でもクリエイターになれる』

このブログを読んだだけで、その創造性が身について磨かれる。





≪ アートに学ぶ 気づきと思考 Ⅱ 本編 ≫に続く




 





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