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  • 執筆者の写真sfumita7

モチベーションの源:アートの動機

更新日:2022年2月28日




 古代美術という区分は人類が文字をもつ以前の先史時代から、キリスト教美術が誕生する頃までを指します。そのため期間としては長大なものになりますが、ここで紹介した洞窟壁画、古代エジプト美術、古代ギリシア美術はそれぞれ「人が絵を描く動機」が異なるものを取り上げています。

 洞窟壁画では描かれた動物は食料でした。原始人が獲物を描いた正確な動機は解明されていませんが、集団で獲物を狩る必要があった原始人のサバイバルを動機とする絵として捉えることもできます。

 古代エジプトでは、人は死後の恐怖を克服するために絵を描きました。未知であるがゆえ不安である死後の世界を描くことで、人々は死を乗り越えようとしたのです。

 そして古代ギリシア時代の人は美の追求のために絵を描きました。美の追求は神の世界を追求するのと同じことであり、自分たちの存在理由を探る手段として絵を用いたのです。

 一見読み解きづらい絵画でも、絵を描く理由をさぐることで理解につながります。



《時代ごとの思考:絵を描く(表現の)目的》


•古代美術 3万2千年~ 狩猟社会 部族

【古代人の基準:「効く」かどうか(霊験、ご利益があるかどうか)】

宗教・呪術・共同体のシンボル 等。獲物の絵を描くだけで、またそれを槍や石斧で打ち つづけるだけで、本物の動物も自分たちに屈服すると考えていた。

空想上の動物が描かれているショーヴェ洞窟の壁画



•古代美術 紀元前3千年~紀元前51年 農耕社会 王国

【古代エジプト人の基準 :「理解」しているか、「伝わる」かどうか】

生きつづける者。厳格なルール。幾何学的な秩序感覚を持ちながら、正確極まる自然観 察の目。すべては神と蘇った王に伝えるために描かれた。

『死者の書』 古代エジプト



•古代美術 紀元前8世紀-紀元前1世紀 農耕社会 都市国家

【古代ギリシャ人の基準 :美の定義 ”調和や美”】

偉大さ、壮麗な静けさと力強さはエジプト美術の規則に従う。表現すべきは「魂の働 き」であり、それには「感情が体の動きにおよぼす影響」を正確に観察。

『古代ギリシャ壁画』



•古代美術 紀元前753年-476年 農耕社会 帝国

【古代ローマ人の基準 :”調和や美”よりも”事実”を重んじた表現】

ギリシャ文化から好みの箇所を取りだし、それを自分たちの必要に合わせた表現。華美 な装飾を排し、実用本位の都市デザインで世界征服を目指した。

『古代ローマ 闘技場 コロッセウム』

『南仏プロヴァンス地方ニーム近郊 水道橋』


•キリスト教美術のはじまり 480年頃-15世紀 農耕社会 教会

【中世の基準:キリスト教を伝える厳格で単純明快な表現】

 ※感情(愛情、罪、罰、苦悩など)を表現

アートの暗黒時代。キリスト教を伝える厳格で単純明快な表現。感情(愛情、罪、罰、 苦悩など)を表現している。

モザイク画『随臣を従えたユスティニアヌス帝』547年

ラヴェンナのサン=ヴィターレ聖堂



•写実美術 14-16世紀 農耕社会 市民

【ルネサンス期の基準:人間復興、偉大なギリシャ・ローマ文化の復活、再生】

現代におよぶ、理解・観察・感情(テーマ)による表現が理論的にまとめられた(人体解剖 学、遠近法、明暗法)。

『アテナイの学堂』1509年 - 1510年 ラファエロ・サンティ

ヴァチカン宮殿ラファエロの間



•写実美術 17世紀 農耕社会 王政

【バロック時代の基準:権力と交流】

 ※劇的・情動的な効果によって権力を誇示する表現

バロック様式の芸術家たちの劇的な側面が直截的・情動的な効果によって宗教的な主題 の奨励に繋がると判断しカトリック教会によって促進された。

『ラス・メニーナス 女官たち』 1656年 ディエゴ・ベラスケス



・写実美術 18世紀 工業社会 市民(ブルジョア)

【近代の基準:革命】

  ※「社会」と「個人」を伝える表現

  アートも社会への影響力が問われ始める。アートが創作研究と新しい価値観の発信手段              

  になった。社会的なテーマや個人的な感情の表現、また癒しが得られるような絵

『落穂拾い』1857年 ジャン=フランソワ・ミレー

『民衆を導く自由の女神』1830年 ウジェーヌ・ドラクロワ



・伝統の解体 19世紀 工業社会 市民

【印象派の時代の基準:新しい基準】

 ※「現実」と「真実」を伝える表現

  伝統(セオリー)の解体、新しい視点と表現の発展   

『散歩、日傘をさす女性』 1875年 クロード・モネ



• アートの革命 20世紀:キュビズム(多視点)

【モダンアートの時代:アバンギャルド 反体制】


 ・ブルジョワ画家トゥールーズ=ロートレックは、社会のマイノリティを描いた。 


 ・近代絵画の父ポール・セザンヌは「何を描くではなく、どのように描くか」「絵で何が


  できるか」」にこだわって独自の画法で新しい絵画を生み出していった。


 ・パブロ・ピカソは見えたままではなく、多重視点によりキュビスムを描いた。


『アビニヨンの娘たち』1907年-1908年 パブロ・ピカソ



• アートの再構築:レディ・メイド(現代美術)

【コンテンポラリーの時代:価値観の再構築】 


 ・表現主義のカンディンスキーは、音楽や感情などを自由な色と形で描き、独自の


  抽象絵画が生まれた。


 ・イタリアの画家ジョルジョ・デ・キリコは、目に見えない心の中を絵に描いた。


 ・シュルレアリスム(超現実主義)の画家サルヴァドール・ダリは、奇妙な夢をリアルに


  記録した絵を描いた。


『階段を降りる裸体No.2』 1912年 マルセル・デュシャン



•アートと社会:商品(オフセット印刷)

【大量生産とデザイン:消費の時代】


 ・事故や災害までも風景描写として社会を表現したアンディ・ウォーホール。

『緑色の惨事10回』1963年 アンディ・ウォーホル


『キャンベルスープの缶』 1962年 アンディ・ウォーホル



アートの多様性:価値の再設定(デジタル):自由表現

「岡本太郎現代芸術賞展」 2018年4月  東京・岡本太郎記念美術館

 『価値の突破』 2018年 文田聖二    








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