top of page
検索

美意識の基本 【アートの民主化】 Chapter 10

執筆者の写真: 聖二 文田聖二 文田

更新日:2024年11月28日




アート思考の基本『0から10まで成長するには』


  1. 0を1にする = 無から創造する

  2. 1から9にする = 既存のものを効率的に活用し、改善する

  3. 9を10に引き上げる = 限界を超え、新しい価値観を創造する


 2番目のステップは、AIやデジタル技術が進化していく領域であり、データ分析や効率化に長けています。

 一方で、1と3は人間にしかできない領域。これは、全く新しい視点や未知の可能性を生み出す力であり、真の創造性が試される瞬間です。それがアートの本質です。




アート思考とは?


 アート思考は、A点からB点へと効率的に進む手段を探すのではなく、そもそもB点をどのように発明するかを考えるプロセスです。これにより、未知の領域を開拓し、新しい価値観を社会に提供することが可能となります。





絵を学ぶことの意義


 絵を学ぶことは、単に目で見て形を捉えるだけではなく、多角的な視点から世界を観察し、異なる方法で理解し伝える力を養うことを意味します。




 レオナルド・ダ・ヴィンチは、単なる観察者ではなく、「感じ、触れ、理解する」ことで世界を捉え直しました。彼の手稿に見られるように、物事の構造やその相互作用を深く洞察することが、彼の芸術と科学を繋げる鍵でした。


『ウィトルウィウス的人体図』 1485年頃 レオナルド・ダ・ヴィンチ



アートと社会の関係


 アートは、しばしば不要不急の贅沢と見なされますが、実際には私たちの心と社会にとって不可欠な存在です。人生において、物質的な安定だけでは心の豊かさをもたらすことはできません。

 アートは、感情を豊かにし、心の疲弊を癒し、創造的な思考を促します。特に現代社会では、物質的な充足がもたらす安心感以上に、心の糧としてのアートが重要視されているのです。


『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』 1857年 歌川広重


 江戸時代に描かれた広重の『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』は、その独特の視点で当時の都市風景を捉え、現代人にも豊かな感性を提供し続けています。歌川広重の作品に見られるように、アートは単なる視覚的な美しさを超え、歴史や社会における人々の価値観を反映し、また変革する力を持っています



デッサンの意義


 デッサンは、技術的なスキルを向上させるだけでなく、観察力や思考力を磨き、日常生活の中で問題解決力を発揮するための基盤となります。これはただの芸術的スキルにとどまらず、科学的探究やビジネスの分野においても、状況を多角的に捉える力が必要不可欠であることを示しています。



 ガリレオ・ガリレイが低倍率の望遠鏡で月のクレーターを発見できたのも、彼が水彩画を通じて観察力を養っていたからに他なりません。



『月の水彩画』 ガリレオ・ガリレイ



歴史的な視点:石膏像の重要性


 石膏像の描写は、西洋美術教育の中で非常に重要な役割を果たしてきました。これは単なる技術習得の一環としてではなく、古代ギリシャやローマの人文主義的な美の探求を学ぶ過程です。


ギリシャ婦人像 胸像


 古代ギリシャ彫刻が美の象徴として何世紀にもわたり描かれ続けている理由は、その普遍的な美の価値が今もなお現代に響き続けているからです。

古代ギリシャ彫刻


 石膏デッサンは、単に正確に模写するだけではなく、その背景にある歴史や文化、そして美の基準を理解するためのツールでもあります。


ブルータスの彫刻



 ヘレニズム期の彫刻は、神々の理想化された姿から人間らしい表現へと進化し、美術と人間性の密接な関係を象徴しています。


ヘレニズム期の彫刻『ラオコーン』 ローマ出土 紀元前1世紀後半





 この文章では、アート思考の重要性、デッサンの意義、歴史的な視点を加えることで、芸術の社会的・文化的な役割がより明確になります。

 アートが単なる贅沢ではなく、心の豊かさや創造的な思考を育むための不可欠な要素であることを強調しています。

 
 
 

Comments


©2023 by 文田聖二 SEIJI FUMITA。Wix.com で作成されました。

bottom of page