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  • 執筆者の写真sfumita7

アート思考:①テーマ(構図:何を表現したいのか。)

更新日:2022年2月28日

「テーマ(目的)とモチーフ(素材)を生かす・素材を使って目的を他者に伝える」


 光、感触、高さ、深さ、広さ、静と動、感情、情熱、神秘…のような、作品の視覚的な効果をねらうためだけが構図をとる目的ではありません。「構図をとること」は、制作の根本にある目的「テーマ」を他者に伝えるための手段として考えるべきでしょう。構図をとるという行為は、料理に置き換えると「季節の素材を使って、その季節の素材を生かす調理をし、その季節にあった料理を完成させ視覚と嗅覚、味覚を楽しませる、季節料理の盛り付け。」のような作業とこだわりと言えるでしょう。決められた場所と与えられた状況で、客人が満足する接待(持て成し)を考えることも「構図」を考える行為にちかいのかもしれません。「構図」は、表現のための要素(行為)すべてに一つ一つ関連しなくては機能したと言えません。制作する「テーマ」が家庭の基準となる家訓、学校の校訓、国家の憲法だとしたら、「素材」は家族、生徒、国民で、「構図」は家族の約束、学校の校則、国家の法律みたいな存在です。


 もし、あなたが「富士山を描いて下さい」と依頼されたらどうしますか?たくさんの画家が描いたモチーフ(対象)であり、日本人であれば大抵の人がその山の姿のイメージを思い描くことができるでしょう。「一般的」だからこそ、どんな富士山を描けばいいのでしょうか。そんな時、あなたの思い描く富士山の姿が「構図」に表れることになります。

          富嶽三十六景『凱風快晴』 1832年  葛飾北斎


    富嶽三十六景『神奈川沖浪裏』 1831-33年(天保2-4年)頃  葛飾北斎


 制作の「テーマや素材」を生かすも殺すも’構図’の完成度、またその構図を生かせる表現力が伴っているということが必要不可欠です。誰かに手紙を書く時のことを思い出して下さい。何かを知らせる、相手を喜ばせるなど「目的」があるはずです。’文字’あるいは’何らかの話題’という「素材」を使って文章(表現)にするわけですが、あなたの目的が相手に伝わったとしたらその手紙の内容を表現した「構図」は良いということが言えます。


 色んなことを述べてきましたが、結局あなたの考える「構図」とは何でしょう。ある意味、秩序がなくても感情の赴くまま自由に表現することが大切とも言えます。しかし、「私は努力をしている、なのに達成感がなく気持ちがスッキリしない(報われない)、充実感がない。」という人は、「構図」のような目標達成のための明確なプロセスがないことで、むやみに労力を消費している割には建設的な作業にならないで、フラストレーションが溜まっているのでしょう。「哲学を持つ」みたいに人にとって必要不可欠とは言えませんが、どちらかというとあった方が、人生を豊かにするもの(芸術もそうかもしれません)なので、行動するテーマをもってみましょう。



リアクションで感情を伝えた絵


 絵画の楽しさがわかると、次はその根底にある思想や文化、作者の考えが知りたくなってくるでしょう。一見しただけではわからない意図など、1枚の作品に非常に多くのメッセージが込められていることもあり、そのような絵画の解釈をめぐっては断定的な評価をしづらいのが事実です。しかしその時代や画家の生い立ち、そして当時人々が信仰していた宗教や神話を知ることで、その絵画がなぜ描かれたのか、何の場面を描いたのかについて、ある程度は読み解けるようになります。

たとえば宗教画には、似た構図の絵がたくさんあります。それは多くの画家たちが為政者の依頼を受けて聖書の一場面を描いたからです。なぜそれを描いたかといえば、文字が読めない人に、聖書の内容を理解させるためです。時の為政者たちの考えを知れば、信仰の力を借りて多くの人々を統べる必要があったこともわかるでしょう。このように、時代時代に共通する文化や思想が、絵画の形となって表出しているケースは多々あります。時代を知れば絵画を読み解けるようになるというのは、絵画が「その時代を映す鏡」だからなのです。

 技術の発達も、絵画とは切っても切り離せない関係があります。古くは木片や土、動物の血液などで絵を描きました。それが技術の進化、ひいては人類の発展とともにさまざまな道具や絵画技法が発明された結果、この時代まで残り、いまなお私たちに感動を与え続けてくれるのです。

 何万年も前に洞窟内の壁に描かれた絵、荘厳な礼拝堂の壁画、屋根裏で描かれた小さなキャンバス。絵という窓を覗けば、色とりどりの世界から吹き込む時代の風を、ときに穏やかに、ときに壮烈に感じることができるでしょう。




誰もが得られる喜び


皆と同じものを日常で見て、同じような環境の中で、 他の人が気づかなかったことが気になり、 気になってしょうがなくなり探求が始まる、それが発見。


『最も高貴な喜びとは、理解する喜びである』 -レオナルド・ダ・ビンチ-



”絵で光と影の演出革命を起こした”画家カラヴァッジョ 1571年-1610年


 イタリア人画家 ・ローマ、ナポリ、マルタ、シチリアで活動。

 卓越した描写、ドラマティックな明暗、人物ひとりひとりの感情の巧みな表現は、 後世 

 の画家たちに影響を与えた。

 ローマ・カトリック教会の改革運動を背景とした革新的な表現。

 バロック美術の先駆者としての役割を果たした。

 

『聖マタイの召命』1600 年 カラヴァッジオ




”王の側近“宮廷画家ディエゴ・ベラスケス 1599年-1660年


・スペインの宮廷画家

・職人→貴族

・宮廷装飾の責任者

・貴族や王の側近

※エドゥアール・マネ(印象派の父)が「画家の中の画家」と呼んだ。


『ラス・メニーナス』1656 年 ディエゴ・ベラスケス


・舞台はフェリペ 4 世のマドリード宮殿の大きな一室である。

・スナップ写真のごとく、瞬間的に切り取って、写し描いてみせた。

・スペイン宮廷人(人物も特定されている)の様子。

・観賞者と絵の登場人物との間にぼんやりした関係を創造する。




”悩めるストーリーテラー” 画家レンブラント・ファン・レイン 1606年-1669年


・ネーデルランド(オランダ)の画家

・オランダ黄金時代(17世紀のオランダを示す)のフェルメールと並ぶ代表する 一人。 ・当時、依頼されたとおりに描く絵画が求められていた中で、独自のストーリー性を重視し

 た表現が後世に評価される。

・カラヴァッジョの明暗技法を学び、「光と陰の魔術師」と呼ばれる。

・肖像、寓話、歴史、聖書など題材にとらわれない実験的な多くの自画像と作品を描いた。



集団肖像画


『フランス・バニング・コック隊長の市警団』 1642 年 レンブラント・ファン・レイン


※集団肖像画 とは

・数人から20人ぐらいまで様々な立場の人たちが、集団肖像画を依頼した。

・集団で描いてもらうため一人当たりの画料は安く済むというのが当時の集団肖像画が流行

 った最大の理由。

・一人一人が同じ料金を払うので画家はそれぞれを公平に描かなければ

 ならない。

・そのため整列した状態で描くことが多く、作品としての評価は低く面白みの無いものであ

 った。


※各人物をはっきりかつ公平に描く当時の集団肖像画の典型

ミヒール・ファン・ミーレフェルト作

『デルフトのファン・デル・メール博士の解剖講義』


レンブラント・ファン・レイン 作

『テュルプ博士の解剖学講義』 1632 年



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