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  • 執筆者の写真sfumita7

アート思考:②モチベーション(活力:目標。何をしたいのか。)

更新日:2022年2月28日

「何のために、誰のために作品の制作をしたいのか」


 あなたが伝えたいと願うこと、この時代に対して沸き上がってくる「モチベーション」(欲求・衝動」とは何でしょう。


 「人に会いたい時、そうでない時」「話すべきか否か」の違いもモチベーションの状態が左右しているのではないでしょうか。作品を制作したい、何かを表現したいという衝動、欲求が沸き上がった時も例外ではないでしょう。欲求、衝動、義務感、自信、コンプレックス、希望、何をのぞむのか。何を残したいのか。何をこわしたいのか、そして生み出したいのか。そのエネルギーを一つの方向へ絞り込み前に押し出すパワーの強さは、モチベーションや志の高さに関わってくるのではないでしょうか。

         『紅白梅図屏風』 江戸時代(18世紀) 尾形光琳


 要は、継続すること、継続できることが重要であり、何よりも説得力があります。理屈ではなく、あなたを突き動かしている「欲求・衝動」は何ですか?

 遊んできたことを思い出してみて下さい。食事の時間になろうが日が暮れはじめようが、空腹もいいつけもわすれて何かをさがしたり、友だちと競い合ったり、創ったりしていました。「子どもは遊びの天才」、何かに夢中になれるということがそのことに対して才能があるといえるのかもしれません。そう考えるとモチベーションをもつということは何も明確な目的がなくても、ただ時間をわすれて打ち込むことができ、その時に幸せであり、そのことすら意識しないほど充実している「もの・こと」なのでしょう。


 子どもは何か目的をもって、いつも遊んでいるでしょうか。遊びたいという欲求や衝動が彼らを動かしているのではないでしょうか。そういった欲求や衝動を呼び覚ますモチーフ(対象)はさがすのではなく、すでにもっているもの、もっていたものを思い起こしてみるといいのでしょう。




古代から続く、絵を描く習慣


 いまでは芸術や趣味 、仕事として多くの人たちが絵を描いていますが、歴史をひもとくと、そのときどきの人々の息づかいが聞こえてきます。

遠い昔――私たち人類の祖先が狩りをして暮らしていた時代――「絵」はいまよりも大切な意味を持っていました。彼らは動物の姿や狩りの仕方、そしておまじないの印などを絵として洞窟の壁画に残しました。彼らにとって絵は、「生きるための術」そのものだったのです。

 古代エジプト時代になると、絵の内容はより具体的になります。彼らは「永遠」という言葉を好み、死後の世界を描きました。亡くなった王の石室には、生前の暮らしぶりが詳しく描かれました。王が復活したときに、自分が何者かを知るために描かれた「記録」なのです。いまでこそ芸術性が高く評価される古代エジプト画ですが、幾何学的な秩序と綿密な観察によって、当時の生活ぶりを正確に記録しているのです。

 絵を描くということは、生きることと密接につながった人間の営みともいえます。



絵を描くことの楽しさを思い出す


壁や地面に描いた絵、クレヨンで描いた夏休みの思い出、着てみたいドレスや試してみたい髪かみがた型の絵、絵ハガキ、友達や先生の似顔絵、教科書に描いたラクガキ……。子どものころを思い起こせば、ほとんどの人にとって絵は身近な存在だったと思います。今絵が苦手という人はいつから描くことが楽しくなくなったのでしょう。

幼いころは、描く絵に「正解」を決めつけていなかったので、うまいもへたもなくワクワクして好きな色で自由自在に塗ったり線を描いたりしていました。それが年頃になるにつれ、人によっては漫画やアニメのキャラクターを描き写したい欲求が出てきて、上手に描けるクラスの人気者と比べてしまい、絵を描く才能の有無を決めつけていったのではないでしょうか。あるいは美術館や画集、美術の教科書などで写真のように描かれた写実絵画や個性的な名画に出会ったときに「自分には画家のような絵を描くことはできない」と思い込み、いつの間にか描く絵の「正解」を勝手に決めて「写真のようにうまく描き写せないから恥は ずかしい」と絵を描くことを避けるようになっていった人も少なくないと思います。

大半の人が絵を描けないのではなくて、「描かなくなったから苦手だ」と思い込んでいるのです。

絵に正解はありません。誰だれかに評価されることや喜ばせたり驚おどろかせたりするためではなく、自分がワクワクできればいいのです。まずは絵を描きはじめることが大切です。どんな目的であっても絵を楽しんで描く習慣がつけば、誰だれでも上達していくのです。




モチベーションの源:アートの動機


 古代美術という区分は人類が文字をもつ以前の先史時代から、キリスト教美術が誕生する頃までを指します。そのため期間としては長大なものになりますが、ここで紹介した洞窟壁画、古代エジプト美術、古代ギリシア美術はそれぞれ「人が絵を描く動機」が異なるものを取り上げています。

 洞窟壁画では描かれた動物は食料でした。原始人が獲物を描いた正確な動機は解明されていませんが、集団で獲物を狩る必要があった原始人のサバイバルを動機とする絵として捉えることもできます。

 古代エジプトでは、人は死後の恐怖を克服するために絵を描きました。未知であるがゆえ不安である死後の世界を描くことで、人々は死を乗り越えようとしたのです。

 そして古代ギリシア時代の人は美の追求のために絵を描きました。美の追求は神の世界を追求するのと同じことであり、自分たちの存在理由を探る手段として絵を用いたのです。

 一見読み解きづらい絵画でも、絵を描く理由をさぐることで理解につながります。



《時代ごとの思考:絵を描く(表現の)目的》


•古代美術 3万2千年~ 狩猟社会 部族

【古代人の基準:「効く」かどうか(霊験、ご利益があるかどうか)】

宗教・呪術・共同体のシンボル 等。獲物の絵を描くだけで、またそれを槍や石斧で打ち つづけるだけで、本物の動物も自分たちに屈服すると考えていた。

空想上の動物が描かれているショーヴェ洞窟の壁画



•古代美術 紀元前3千年~紀元前51年 農耕社会 王国

【古代エジプト人の基準 :「理解」しているか、「伝わる」かどうか】

生きつづける者。厳格なルール。幾何学的な秩序感覚を持ちながら、正確極まる自然観 察の目。すべては神と蘇った王に伝えるために描かれた。

『死者の書』 古代エジプト



•古代美術 紀元前8世紀-紀元前1世紀 農耕社会 都市国家

【古代ギリシャ人の基準 :美の定義 ”調和や美”】

偉大さ、壮麗な静けさと力強さはエジプト美術の規則に従う。表現すべきは「魂の働 き」であり、それには「感情が体の動きにおよぼす影響」を正確に観察。

『古代ギリシャ壁画』



•古代美術 紀元前753年-476年 農耕社会 帝国

【古代ローマ人の基準 :”調和や美”よりも”事実”を重んじた表現】

ギリシャ文化から好みの箇所を取りだし、それを自分たちの必要に合わせた表現。華美 な装飾を排し、実用本位の都市デザインで世界征服を目指した。

『古代ローマ 闘技場 コロッセウム』

『南仏プロヴァンス地方ニーム近郊 水道橋』


•キリスト教美術のはじまり 480年頃-15世紀 農耕社会 教会

【中世の基準:キリスト教を伝える厳格で単純明快な表現】

 ※感情(愛情、罪、罰、苦悩など)を表現

アートの暗黒時代。キリスト教を伝える厳格で単純明快な表現。感情(愛情、罪、罰、 苦悩など)を表現している。

モザイク画『随臣を従えたユスティニアヌス帝』547年

ラヴェンナのサン=ヴィターレ聖堂



•写実美術 14-16世紀 農耕社会 市民

【ルネサンス期の基準:人間復興、偉大なギリシャ・ローマ文化の復活、再生】

現代におよぶ、理解・観察・感情(テーマ)による表現が理論的にまとめられた(人体解剖 学、遠近法、明暗法)。

『アテナイの学堂』1509年 - 1510年 ラファエロ・サンティ

ヴァチカン宮殿ラファエロの間



•写実美術 17世紀 農耕社会 王政

【バロック時代の基準:権力と交流】

 ※劇的・情動的な効果によって権力を誇示する表現

バロック様式の芸術家たちの劇的な側面が直截的・情動的な効果によって宗教的な主題 の奨励に繋がると判断しカトリック教会によって促進された。

『ラス・メニーナス 女官たち』 1656年 ディエゴ・ベラスケス



・写実美術 18世紀 工業社会 市民(ブルジョア)

【近代の基準:革命】

  ※「社会」と「個人」を伝える表現

  アートも社会への影響力が問われ始める。アートが創作研究と新しい価値観の発信手段              

  になった。社会的なテーマや個人的な感情の表現、また癒しが得られるような絵

『落穂拾い』1857年 ジャン=フランソワ・ミレー

『民衆を導く自由の女神』1830年 ウジェーヌ・ドラクロワ



・伝統の解体 19世紀 工業社会 市民

【印象派の時代の基準:新しい基準】

 ※「現実」と「真実」を伝える表現

  伝統(セオリー)の解体、新しい視点と表現の発展   

『散歩、日傘をさす女性』 1875年 クロード・モネ



• アートの革命 20世紀:キュビズム(多視点)

【モダンアートの時代:アバンギャルド 反体制】


 ・ブルジョワ画家トゥールーズ=ロートレックは、社会のマイノリティを描いた。 


 ・近代絵画の父ポール・セザンヌは「何を描くではなく、どのように描くか」「絵で何が


  できるか」」にこだわって独自の画法で新しい絵画を生み出していった。


 ・パブロ・ピカソは見えたままではなく、多重視点によりキュビスムを描いた。


『アビニヨンの娘たち』1907年-1908年 パブロ・ピカソ



• アートの再構築:レディ・メイド(現代美術)

【コンテンポラリーの時代:価値観の再構築】 


 ・表現主義のカンディンスキーは、音楽や感情などを自由な色と形で描き、独自の


  抽象絵画が生まれた。


 ・イタリアの画家ジョルジョ・デ・キリコは、目に見えない心の中を絵に描いた。


 ・シュルレアリスム(超現実主義)の画家サルヴァドール・ダリは、奇妙な夢をリアルに


  記録した絵を描いた。


『階段を降りる裸体No.2』 1912年 マルセル・デュシャン



•アートと社会:商品(オフセット印刷)

【大量生産とデザイン:消費の時代】


 ・事故や災害までも風景描写として社会を表現したアンディ・ウォーホール。

『緑色の惨事10回』1963年 アンディ・ウォーホル


『キャンベルスープの缶』 1962年 アンディ・ウォーホル



アートの多様性:価値の再設定(デジタル):自由表現

「岡本太郎現代芸術賞展」 2018年4月  東京・岡本太郎記念美術館

 『価値の突破』 2018年 文田聖二    


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