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  • 執筆者の写真sfumita7

人物画、西洋画家と浮世絵師

人物画といえば、何を思い浮かべますか?

例えば西洋画なら、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「モナ・リザ」は最も有名な一枚といえるでしょう。

『モナ・リザ』 レオナルド・ダ・ヴィンチ



また、浮世絵師 東洲斎 写楽が描いた「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」は、見れば多くの人が分かるほどイメージが定着している人物画です。この二枚は、かなり異なる描き方がされています。その秘密は何でしょう。

『三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛』 東洲斎



 美術解剖学を始めたダ・ヴィンチは、人体の骨格や筋肉を理解していたのに加え、遠近法も研究していたので見たままに写しとるのではなく、モデルの特徴を誇張したり、人物の立体感や奥行きを出すために手前のものを大きく描いてインパクトを出したりしています。

 このように明暗法や遠近法などの絵画技法を用いて、構造感を大切にして写実的に描かれた西洋の人物画に対して、日本の絵師の人物画は先輩絵師の絵を何枚も模写することで、その技を受け継ぐ修業しています。そのため、目鼻口や手などのかたちもパターン(記号)化された明快で平面的な表現となっています。


 絵を描く目的や文化的背景の違いで、東西の人物表現が異なっていったのです。骨格やプロポーションなど構造をとらえる観方は西洋美術の絵画技法で、かたちの印象(たたずまい)や特徴を平面的に簡略化してとらえる観方は、日本美術の絵画表現といえるでしょう。  皆さんが親しんでいる現在の漫画・アニメ、イラスト、絵画は和洋折衷されてきた人物表現なのです。

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