創造のコツは、それがどこから得たものかわからないようにすること。
個性とは、選択して構築してきた情報の違い。
美とは、心揺さぶられたこと。
独創性とは、欲求、興味で選んで記憶している情報素材を新鮮な気持ちになれる組み合わせで再構成されること。
『アビニヨンの娘たち』1907年-1908年 パブロ・ピカソ
生きざまがせつない芸術家 ”家族を守れなかった頼れるお父さん”
【名前】 ネアンデルタール人
【芸術活動】 彫刻制作/歌
『ブリュニケル洞窟ストーンサークル』
・意思疎通は語彙力ではなく、歌って思いを伝える表現力
諸説ありますが、さまざまな壁画を描き残しているクロマニョン人に対して、ネアンデルタール人は象牙を素材とした彫刻『ライオンマン』などの彫刻(立体)を造っていました。また、ミュージカルのように歌でコミュニケーションをとっていたといわれる芸術家ネアンデルタール人は、現代人より大きな頭(脳)と強靭な肉体を使って、身の回りにある様々なものを利用し工夫して投てき具など人の機能を補完する道具を次々に造り出していたと考えられます。
クロマニョン人ほど声帯が発達していなかったネアンデルタール人は、ミュージカルのように歌で伝えたい思いを表現しコミュニケーションをとっていました。
『ライオンマン』
【生息地】 ヨーロッパ、西アジア、中央アジア
【特徴・習性】 強靭な肉体・家族単位で行動する・歌で会話をする
【エピソード】
芸術家のような表現力とプロレスラーのような強靭な身体に恵まれ、手先も器用な頼れるお父さんをリーダーとして家族単位で行動していました。だから他の家族に頼ることがなく、氷河期の厳しい環境を乗り越えられずに全滅してしまったのです。
筋骨隆々の体と高い知能があったからこそ組織の力に頼らないで、強い絆と信頼感で結ばれていた家族で行動していました。強く頼れるお父さんをリーダーとするネアンデルタール人の家族は、助け合う仲間や頼れる組織もなく氷河期を生き残ることができなかったのです。
【余談ですが】 絶命の危機が進化のチャンス
生き残った芸術家の祖先
人類の祖先は、想像した動物の絵や宗教的、呪術的なストーリー、シンボルを創造するなどの虚構により、認知能力が発達した。
※認知的能力(学習、記憶、意思疎通の能力)
【創造性により脳(思考力)が劇的に発達】
•80万年前に火を発見し、30万年前には一部の人類種が日常的に使用。
•7万年前から3万年前にかけて、人類は舟、ランプ、弓矢、針(暖かい服を縫う)を
発明、芸術と呼べる品々、宗教や交易、社会的階層化の最初を創造していった。
•ネアンデルタール人は、肌は白く、金髪、碧眼、彫りの深い顔、奥目、現代人の風貌
で、プロレスラーのような強靭な体を持ち、家族単位で生活していた。
•クロマニョン人は、猿人にちかく、体はひ弱だったが声帯が発達して意思疎通の表現の
幅が広かったので組織として行動することができた。
•コミュニケーション能力の差で、ネアンデルタール人は氷河期に死滅し、クロマニョン
人は生き残れた。
クロマニョン人(ホモ サピエンス)は、 虚構により単に物事を想像するだけではなく、
集団でそうできるようになった。無数の赤の他人と著しく柔軟な形で協力できるようにな
り、世界を支配した。
【名前】 クロマニョン人
【芸術活動】 壁画制作
『ラスコー洞窟の壁画』
【生息地】 ヨーロッパ、北アフリカ
【特徴・習性】
道具が使える・集団行動ができる・声帯が発達している。
【エピソード】
他の動物とは違い、火や道具を扱える。卓越した観察眼と画材を創り出す創造性と表現力で様々な壁画を描いていました。
同時期に生息していたネアンデルタール人に比べると体がひ弱で一人で狩りをする力がありませんでした。だからこそ群れをつくり、コミュニケーション能力・組織力・順応性を身につけて激変する環境を生き抜いてきたのです。
・石器人の創造的才能
ショーヴェの洞窟壁画には、その時代に生息していた野生の牛、馬、サイ、ライオンなど13種類あり、その中にはフクロウやハイエナやヒョウなど動物の絵や手形といった壁画が数多く残されています。でこぼこの壁面に線を重ねてコマ送りのように描かれている動物の絵が、当時の照明手段であった松明の火が揺れることで動いているように感じられる表現など、現在のアニメーション技術を連想させます。はるか昔、動物(モデル)を見ながらではなく記憶だけで正確にスケッチできた観察力の高さと、アニメーションの起源ともいえる高度な表現力を成し遂げていたことから、すでに石器人は現代人と変わらない、もしかしたらそれ以上の創造的才能でアート活動をしていたと考えられます。
『空想上の動物が描かれているショーヴェ洞窟の壁画』
『ショーヴェ壁画』
・軟弱、頼り合う習慣、コミュニケーション力、声帯の発達
クロマニョン人は、発達した声帯で様々な言葉を発し絵を描きコミュニケーションをしながら、群(複数の家族)で助け合いながら生きていました。
※生きる力、処世術を身につけたクロマニョン人の知られていないアートな生き方。現代人のような風貌のネアンデルタール人に比べて猿人のようだが高い表現力とコミュニケーション能力に長け、厳しい状況を生き残る組織力があったクロマニョン人。「人は見かけで判断できない」。
【余談ですが】 アートにおけるエッジエフェクト化
他分野との多角的な情報交換ができるエッジエフェクトを生み出すことが、ヒトや社会が成長する条件だと考えています。
いつの時代もそれまでのアートシーンの枠を超えて社会で注目(支持)される新しい価値観“現代美術”の研究が求められてきました。進化するビジネスの領域においてもArt思考や美意識、創造性が必要とされている今日、実社会を直視して問題点を的確にとらえて、限られた専門性の壁を越えて協働していく「芸術教育」が必要とされています。
SDGsを目指し始めた世界で、デザインやArt思考が重要視されていることやSTEM教育に[Art]が加えられたSTEAM教育が次世代に求められているように“Art”の社会的役割がますます見直されてきています。日本でも藝大・美大・美術学校で研究する学生の思考力や創造性が実社会で増々、必要とされている昨今、その才能を社会で機能させていくために他分野との協働を実践する『アートにおけるキャリア教育』の研究が重要視されていくと考えています。
持続的な経済成長社会であるSociety5.0の実現のために未来志向を持ちながらもアナログへの回帰、伝統文化の継承の重要性が高まってきている社会で、文化庁や文部科学省の教育改革だけではなく企業や行政の「働き方改革、社会人の学び直し」と社員教育、職員研修も“新しい教育”に取り組んでいます。
アートシーンだけに留まらず、様々な分野で「正解のない問題」への対策で迷走している行政や様々な企業、伝統文化の工房、リカレント教育やSTEAM教育の現場などで、多様な人脈との協働関係を築き多角的な視点を活かした“創造性の促進”が求められています。
想定外な実社会のあらゆる場面で、クリエイティビティを開放し機能させる『アートにおけるエッジエフェクト化』といった従来の美術教育では実現できないArtキャリア教育の必要性を感じています。
「アートにおけるキャリア教育」によって磨かれる“感覚や創造性”は、想定外な社会環境に順応して生き抜いていく力を身につけていくために子供から大人まで生涯、継続して必要なものなのです。
400年間もおおきな争いがなかった民族
【名前】 縄文人
【芸術活動】 陶芸制作/建築
【生息地】 日本列島(沖縄~北海道)
【特徴・習性】
共有できる・争わない
【エピソード】
助け合いによる穏やかな狩猟生活を大陸から来た農耕民族の弥生人に責められて、土地と平和を奪われた。
400年もの長い間、目だった争いごとがなく協調しあって狩猟生活をしていた縄文人のこだわりの生き方「美意識」を見直す。
大陸から農耕生活を持ち込んできた弥生人によって、縄張り意識による争いや競争社会がはじまった時代のアートとサイエンスを見直す。
【余談ですが】 旧約聖書「天地創造」に語られている「カイン(耕す者)とアベル(羊飼い)」
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