アートは、
「表現力の発展 = 思考力の発達」
アーティストは、
社会への見方や意見を作品で表現し、新たな価値を表現(=創造力)してきた。
アート思考とは、
A点からB点まで、できるだけいい手段でたどり着く方法ではなく、B点を発明するプロセスである。
マンモスの象牙でつくられた頭は動物、からだは人の像から、古代エジプトの神々の姿との関係。古代のエジプト彫刻からギリシャ彫刻への展開。キリスト教絵画からロマン主義絵画への発展などその誕生のプロセスに思考の進歩がある。
4万年前の古代壁画から創作表現の発展に伴って、アート思考が展開し 、人の思考が進化してきた。だから新しい生活様式を求められている今、世界的にアート思考が必要とされている。
《 4万年前~16世紀 》
【原始時代 :宗教・呪術・共同体のシンボル、人類の絵:死・サバイバル画(部族)】
「マンモスの牙を材料に作られた約4万年前の彫刻像です。ライオンの頭と人間の胴体を
あわせもつことから「ライオンマン」とよばれています。」
<雑誌ニュートン(2019年1月号)より引用>
・美や感動ではなく、効く(霊験、ご利益のある)絵を描いた。
人類最古のショーヴェ壁画(3万5千年前)
空想上の動物が描かれているショーヴェ洞窟の壁画
ラスコー洞窟の壁画 牛
【古代エジプト:永遠の生命(死者の書)】
・記録、「理解」している、「伝える」ことを神に向けて描いた絵
・生け贄の身代わり(副葬品)
『死者の書』
古代エジプト壁画
シャプティ―像
クフ王が建設したギザの大ピラミッド
古代エジプトの彫刻家は「生かしつづける者」とも呼ばれた。
【古代ギリシャ:絶対的な美の基本(彫刻)】
・感動、心を揺さぶる理想の姿を表現した。
・美の定義 ”調和や美、魂の働き”
『ミノアのフレスコ壁画クノッソス』クレタ島(ギリシャ)
『漁師』 紀元前1500年頃 ギリシャ(古代テラ島)
パルテノン神殿
パルテノン神殿内部(復元)
パルテノン神殿内部の女神像(復元)
古代ギリシャ彫刻
アンコラ(赤壺)
【古代ローマ :統制のための手段(彫像)】
・古代ギリシャ美術の模倣。
・”調和や美”よりも”事実”を重んじた表現。
・土木建築の発展。
ローマ遺跡
古代ローマ 水道橋 南仏プロヴァンス地方 ニーム近郊
アウグストゥス帝
『トラヤヌス記念碑』114年頃
『ダキア人との戦い』
古代ローマ 闘技場 コロッセウム
コロッセウム内部
古代ローマ壁画
オリエンタル文化
オリエンタル文化アラベスク
【中世時代 :アートの暗黒時代(宗教画:モザイク画/フレスコ画)】
・キリスト教美術の始まり。
・キリスト教を伝える厳格で単純明快な表現。
・感情(愛情、罪、罰、苦悩など)を表現した。
『随臣を従えたユスティニアヌス帝』547年
ラヴェンナのサン=ヴィターレ聖堂のモザイク画
ロマネスク ベネディクト派修道院
ロマネスク サン・クリメン教会
ビザンティン教会
オリエンタル文化 アヤ・ソフィア
アヤ・ソフィア内部
『最後の晩餐』12世紀
『受胎告知』1200年頃
イタリア、ミラノのドゥオーモ-大聖堂
イタリア、ミラノのドゥオーモ-大聖堂-でカラフルなステンド-グラスの窓
『キリストの哀悼 The Mourning of Christ』 1305年 ジョット・ディ・ボンド
【ルネサンス期:知識と発展”人”( 研究:油彩画)】
・写実絵画の始まり。
・人間復興、偉大なギリシャ・ローマ文化の復活、再生。
『フィレンツェ大聖堂ドーム』1420-63年 フィリッポ・ブルネッレスキ
『ヴィーナスの誕生』1485年頃 サンドロ・ボッティチェッリ ウフィツィ美術館
システィーナ礼拝堂
『最後の審判』 ミケランジェロ・ブオナローティ システィーナ礼拝堂
『最後の晩餐』レオナルド・ダ・ヴィンチ サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会
『アテナイの学堂』1509年 - 1510年 ラファエロ・サンティ
ヴァチカン宮殿ラファエロの間
《 17世紀~21世紀 》
【バロック時代:権力と交流(宮廷画家)】
・劇的・情動的な効果によって権力を誇示する表現。
・画家カラヴァッジョは、光と影の演出革命を起こし舞台のような劇的な絵を描いた。
・レンブラント・ファン・レインは、独自のストーリー性を重視した絵を描いた。
・エドゥアール・マネ(印象派の父)が「画家の中の画家」と呼んだ宮廷画家ディエゴ・
ベラスケス。
・宮廷画家フランシスコ・デ・ゴヤは、美や理想ではなく現実の闇を描いた。
『聖マタイの召命』1600年 カラヴァッジオ
『マリー・ド・メディシスの生涯:マリーのマルセイユ到着』1622-25年
ピーテル・パウル・ルーベンス
『フランス・バニング・コック隊長の市警団』、油彩、1642年
レンブラント・ファン・レイン
『ラス・メニーナス 女官たち』 1656年 ディエゴ・ベラスケス
『カルロス4世の家族』1800-1801年 フランシスコ・ゴヤ
【近代美術:市民と革命】
・「社会」と「個人」を伝える。
・社会的なテーマや個人的な感情の表現、また癒しが得られるような絵。
・新古典主義の画家ドミニク・アングルは、写真にはできない表現で絵を描こうとした。
・ロマン主義の画家ウジェーヌ・ドラクロワは、理想や社会の教訓ではなく個人を尊重し
たテーマで絵を描いた。
・イギリスのソウル画家ターナーは光と雰囲気を抽象的に表現し、未知のエネルギーや
生命体のように存在する大気を描いた。
・バルビゾン派の画家カミーユ・コローは、どこにでもある日常風景を描いた。
・画家ギュスターヴ・クールベは、理想よりも日常的な現実を描いた。
『グランド・オダリスク』 1814年 ドミニク・アングル
『民衆を導く自由の女神』1830年 ウジェーヌ・ドラクロワ
『雨、蒸気、スピード-グレート・ウェスタン鉄道』1844年 ターナー
『モルトフォンテーヌの思い出』1864年 カミーユ・コロー
『オルナンの埋葬』 1849年 ギュスターヴ・クールベ
【印象派時代:写実からの独立:制作の目的(パトロンをもたない画家)】
・「現実」と「真実」を伝える。
・伝統(セオリー)の解体、新しい視点と表現の発展。
・印象派の父エドゥアール・マネは、浮世絵の表現を取り入れた新たな画法で描いた。
・クロード・モネは、移りゆく一瞬の光や動きをとらえて、見たままを伝えようとした。
・エドガー・ドガは、社会の「現実」と「真実」を描いた。
・感情表現の先駆け、画家ファン・ゴッホは、眼に見えないものまでも描いた。
・総合主義であった素朴派の画家ポール・ゴーギャンは、主観と客観を一つの画面に総合
し描こうとして、単に見たまま、感じたままを描いた印象派へ反発した。
「あまり忠実に自然を写してはいけない。芸術とは一つの抽象なのだ。」
『オランピア』1863年 エドゥアール・マネ
『バルコニー』1868-9年 エドゥアール・マネ
『サン・ラザール駅』1877年 クロード・モネ
『睡蓮』 1905年 クロード・モネ
『ダンス教室(バレエ教室)』 1873-1875 エドガー・ドガ
『浴盤』1886年 エドガー・ドガ
『ひまわり』1888年8月、アルル フィンセント・ファン・ゴッホ
『星月夜』1889年__フィンセント・ファン・ゴッホ
『タヒチの女(浜辺にて)』1891年 ポール・ゴーガン
『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』
1897-1898年 ポール・ゴーギャン
【モダンアートの時代:アバンギャルド 反体制】
・ブルジョワ画家トゥールーズ=ロートレックは、社会のマイノリティを描いた。
・近代絵画の父ポール・セザンヌは「何を描くではなく、どのように描くか」「絵で何が
できるか」」にこだわって独自の画法で新しい絵画を生み出していった。
・パブロ・ピカソは見えたままではなく、多重視点によりキュビスムを描いた。
『ムーラン・ルージュにて』1892年 トゥールーズ=ロートレック
ポスター『ディヴァン・ジャポネ』1892年 トゥールーズ=ロートレック
『リンゴとオレンジのある静物』1895-1900年 ポール・セザンヌ
『大水浴図』1906年 ポール・セザンヌ
『アビニヨンの娘たち』 1907年-1908年 パブロ・ピカソ
『ヴァイオリンと葡萄』 1912年 パブロ・ピカソ
『ゲルニカ』1937年 パブロ・ピカソ
【コンテンポラリーの時代:価値観の再構築】
・表現主義のカンディンスキーは、音楽や感情などを自由な色と形で描き、独自の
抽象絵画が生まれた。
・イタリアの画家ジョルジョ・デ・キリコは、目に見えない心の中を絵に描いた。
・シュルレアリスム(超現実主義)の画家サルヴァドール・ダリは、奇妙な夢をリアルに
記録した絵を描いた。
『コサック兵』 1910-11年 ヴァシリ―・カンディンスキー
『フーガ』1914年 ヴァシリ―・カンディンスキー
『通りの神秘と憂愁』1914年 ジョルジョ・デ・キリコ
『愛の歌』 1914年 ジョルジョ・デ・キリコ
『記憶の固執』1931年 サルヴァドール・ダリ
『レダ・アトミカ』1947〜49年 サルヴァドール・ダリ
【大量生産とデザイン:消費の時代(アートと社会)】
・事故や災害までも風景描写として社会を表現したアンディ・ウォーホール。
『緑色の惨事10回』1963年 アンディ・ウォーホル
『キャンベルスープの缶』 1962年 アンディ・ウォーホル
【アートの多様性:価値の再設定(デジタル)】
『記憶と記録 』2002年 文田聖二
『プライベートタイム 』2008年 文田聖二
2018年 4月 岡本太郎現代芸術賞展 入選(岡本太郎記念美術館 展示)
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