古代ギリシアは、複数の都市国家(ポリス)が栄えていたので、地域としては決められたルールで統一されていませんでした。それからアレキサンドロス大王がギリシアを統一し、さらにペルシャやエジプトを征服したことをきっかけに、中東地域にまでギリシア美術が広まるヘレニズム期を迎えます。この頃ギリシア美術はさらなる躍進を遂げ、『ミロのヴィーナス』や『ラオコーン像』など後世に残る傑作を生み出します。
『ラオコーン』 ローマ出土、紀元前1世紀後半、ヴァティカン博物館蔵
ギリシア美術は、バランスのとれた理想的な肉体のように心身の動揺を伴うような強い感動を与えるものを絶対的な美の基本としました。だからヘレニズム期の彫刻は、エジプトの影響を受けていたアルカイック期の彫刻に比べて、躍動感や鍛えられた肉体の美しさが表現されているのです。その頃は、ものづくりや教育、学問の目的は、すべて人類に感動を与えることだったといえます。
この時代の人々は芸術家も哲学者も人の心を動かす本質を真剣に考えていました。
ギリシア彫刻
古代ギリシャ壺
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