ロマン主義絵画の巨匠ドラクロワは、新古典主義を牽引するアングルと、サロンにおいて絵画の表現を巡り大きく対立します。当時のサロンでは、新古典主義こそが理想的な絵画とされていたのです。しかし、アングルは『グランド・オダリスク』のように新古典主義に縛られない絵画を描いており、ドラクロワも絵画の王道ともいえる歴史画をテーマとした絵を描いています。対立はお互いの主張や立場への理解があったからこそともいえます。どちらの表現も写真では実現できないものであり、現代においてもその魅力は決して色褪せていません。
新古典主義の画家アングル
「古代ローマ・古代ギリシア美術の写実性が大切」
「線と形を大切にし調和のとれた構図を重視する」
「デッサンこそ芸術において大切だ」
線の強調
デッサンに基づいた「理性的かつ正確さに基づき、かたちを強調する線」を象徴する作品の1つ
『泉』 1820年-1856年ドミニク・アングル
ロマン主義の画家ドラクロワ
「躍動感・情熱を絵画に込めるために色彩や動きを重視する」
「古典にとらわれず時事的なテーマで描くことが大切だ」
鮮やかな色彩の強調
この時代のモノクロ写真では伝えられない、「色彩の鮮やかさによる感情の強調」を象徴する作品の1つ
『サルダナパールの死』 1827年 ウジェーヌ・ドラクロワ
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