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観察力は予測能力=知能

  • 執筆者の写真: 聖二 文田
    聖二 文田
  • 7 日前
  • 読了時間: 2分


デッサンがうまくなる方法を考えると、多くの人は「線をきれいに引くこと」や「形を正確に写すこと」を思い浮かべます。しかし実は、それ以前に欠かせないものがあります。それが「見る力=観察力」です。

この「観察力」は、AIの世界で「予測能力」が知能とされるように、目に見えない裏側や隠れた部分を想像して理解する力も含まれます。


画家アンリ・マティスは「見ること自体がすでに創造的な行為である」と語りました。つまり、ただ目に入るままに眺めるだけでは本当の「観察」にはならないのです。

画家アンリ・マティス のアトリエ
画家アンリ・マティス のアトリエ

観察とは、対象を解体するように細かく分析し、理解することです。例えば、机の上のコップひとつを描くとしましょう。その形は円筒なのか、上から見るとどんな楕円になるのか。光が当たる部分と影が落ちる部分の境目はどこか。ガラスという素材特有の透明感や反射はどうなっているのか。こうして「空間・光と影・質感・位置・機能」などを意識して確かめていく作業が観察です。


ここで大切なのは、それらを頭の中だけで処理せず、言葉にできるくらい理解しておくことです。「この影は光の方向がここだからできている」と説明できれば、描くときに迷いが減り、表現が確かなものになります。デッサンにとって線や鉛筆の扱いはもちろん技法ですが、“よく見ること”もまた立派な技法なのです。


そして、この「観察力」は練習で高めることができます。おすすめは三つ。

ひとつは「言葉で説明する習慣」。モチーフを見て「形は三角形に近い」「この面はざらざらしている」と口に出したりノートに書いたりします。

次に「見えない部分を想像して描く」練習。例えば箱を少し傾けて、裏側に隠れている面を推測して描くのです。

最後に「時間差の観察」。ひと目見てスケッチし、少し立ち去ったあと記憶を頼りに同じものを描いてみる。この繰り返しで対象をより深く理解できるようになります。


観察は退屈な眺めではなく“頭を使う訓練”です。学ぶほどに世界の見え方が豊かになり、その豊かさを絵に移す力が育っていきます。

 
 
 

1件のコメント


虹わたる
虹わたる
7日前

ベストアドバイス感謝します🩵

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