後継者を育てられる人 任せる覚悟、信じる責任
- 聖二 文田
- 2025年11月21日
- 読了時間: 3分
更新日:2月23日
1466年に14歳のレオナルド・ダ・ヴィンチは、フィレンツェで最も優れた工房の一つを主宰していた芸術家ヴェロッキオの弟子として工房に入り、修行を始めた。
数年後に描かれた『キリストの洗礼(1472年 - 1475年頃制作)』は
師匠ヴェロッキオと弟子レオナルドの合作。

レオナルドが受け持った箇所は、キリストのローブを捧げ持つ幼い天使であるとしている。

そして、弟子レオナルドの技量があまりに優れていたために、師ヴェロッキオは二度と絵画を描くことはなかったとジョルジョ・ヴァザーリ(画家、建築家。ミケランジェロの弟子)の著書『画家・彫刻家・建築家列伝(1550年出版)』に記されている。
「人を育てる」という営みには、歴史的背景と心理学的意義が深く刻まれています。
とくに、任せることや信じる責任、そして自分の限界や変化を認めるという点は、
現代の子育てや人材育成論にも共鳴します。
歴史的観点:継承と信頼
歴史を遡れば、家業や芸術、技術などを子どもや後継者に託す場面は無数にあります。
その際、単に「やり方」を伝えるだけでなく、
自分と違うやり方や新しい発想を認めていく柔軟さが鍵となりました。
江戸時代の職人社会や家督制度などでも、
若い世代に任せるとき「一任する=信じる」という精神が不可欠とされました。
「任せる覚悟」は、権限を手放す(letting go)ことであり、
それが継承文化の厚みや変化を生み出してきたのです。
心理学的視点:アドラー心理学と自立支援
現代心理学、特にアドラー心理学では、
「無条件の信頼」「自分を認めること」「困難を引き受ける力づけ」が育成の核心とされています。
アドラー派では、子どもの自立をゴールとし、「信頼して任せる」ことの大切さを説きます。
また、親自身も「完璧でない自分」を認めるところから始めなければ、相手を信じることはできません。
育てる主体の弱さや変化、限界を認めることで、むしろ子ども(あるいは後継者)は「自分も成長できる」と学び、挑戦し始めます。
人を育てるということは
自分がやってきたこと、成しえなかったことを任せるということで
任せるからには、その相手を信じる責任がある。
誰かに任せるということは
自分ができなかったこと、できなくなったことを
認めるということでもある。
だから、誰かに任せた後は
それまで自分ができなかったこと、やっていなかったことを目的として、
新たに創めることが
自分にとっても任せた誰かにとっても
成長していける希望となる。



「自分がやってきたことを任せる」には、
コントロールを手放す勇気と、相手の可能性を信じる態度が求められます。
歴史的にも、これを怠ると新たな創造や社会的変革は生まれませんでした。
また、心理学の知見は「できなくなった自分」「未熟な相手」を責めるのでなく、
変化や成長の物語を一緒に紡ぐ姿勢こそが、
人を本当に「育てる」道であることを教えてくれます。
「人を育てる」とは、
自分と他者の両方に対して誠実であること。
任せ、信じ、そして認める——この循環の中で、人も社会もまた成長し続けていけるのです。



自分と他者に対して誠実であること
---いい言葉ありがとうございます